猫cafeの一日 ホワイトデー 4匹 恋物語編

 

作者:ヒラマ コウ

 

登場キャラ

 

ミー・・・一般的な三毛猫(♀)ルナの言動に日々振り回されつつも食事やおやつの量も減らして最近ダイエットに成功した。

               お店の中ではお姉さん的存在で、喜怒哀楽が激しいが嫌われてたりはしない。

               ただ、色々とタイミングが悪いのが傷。  

 

バロン・・・ロシアンブルー(♂)まだまだやんちゃで、何でも恐いものみたさに首を突っ込んでいく性格。

                レオンとは仲が良い。単純に言えば明るい無邪気なバカ。

                若さからか思っている事をストレートに言ってしまいがち。 

 

ルナ・・・高貴で美しいシャム猫(♀) お店のNO.1でプライドも高い そして嫌味 ミーを弄って面白がってる。

                   実は意外と繊細だったり思いやりもあるようだが、普段はそんな所は見せたりはしない。

 

レオン・・・アメリカンショートヘアー(♂)お店の中では♂猫達の中ではお兄さん的立場の頼れる冷静な性格。

                     いつもバロンと行動してる事で周りの♀猫達にはモテずに、

                     ネタにされてる。

 

 

 

 

比率:【2:2】

 

上演時間【30分】

 

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CAST

ミー:

バロン:

ルナ:

レオン:

 

 

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                                    BGM:流す時はゆったりした曲推奨

 

 

猫cafe店内

 

なんだか今日は朝からミーがそわそわしてるみたいですが・・・

 

※()は猫達の心の声です。

 

 

 

 

 

 

 

ミー:(いよいよ、この日が来たのよね・・・。バロンにホワイトデーの事、説明したのは良いけど

    お返しって来るのかな・・・。って、何期待してるの!私、これじゃあ・・・バロンの事・・・)

 

 

 

ルナ:何、ぼ~っとそんな所で突っ立っているのかしら?ミー、邪魔ですわよ?

 

 

ミー:(だけど、この胸の苦しさは・・・やはり・・・恋!?ないない!きっと今朝の朝ご飯食べ過ぎて

    胃もたれしてるだけよ・・・!!!)

 

 

ルナ:この私(わたくし)を無視するなんて良い度胸じゃない・・・!

   あっ、あんな所に良い物が・・・。今に見てなさいですわ・・・。

 

 

ミー:(でもでも、もしかしたら~、バロンが、「俺、前からミーの事好きなんだよ。このお返し、義理じゃなくて本命だから。」

    ・・・とか、言ってきたらどうしよう!!!やだ~!!!なんか照れてきちゃう・・・!!!!)

 

 

ルナ:エイッ!

 

 

 

(ルナはミーの近くに立てかけていたモップにアタックする。)

 

 

 

ミー:(そうしたら、私は、こう言わないといけないわよね~。「バロン、私も・・・あなたの事が・・・ス」)

 

ミー:グヘッ!!!!!(モップの柄の部分がミーの頭にクリーンヒット!)

 

ルナ:おほほほ!見事に命中ですわ~!

 

ミー:イタタタッ・・・。いきなりなんて事するのよ!!!ルナ!!!

 

ルナ:あ~ら、そんな所でボケ~っとアホ面してニヤニヤしてるのが、いけないのですわ。

 

ミー:にしてもモップはないでしょモップは!他に方法あるじゃない!声かけたりとかさ~!

 

ルナ:何度も呼びかけましたわよ!でも全然気付かないんですもの~。仕方ないので実力行使到しましたわ!

 

ミー:二度とやらないでよね!本当に痛かったんだから~。

 

ルナ:それにしても惜しいですわ・・・。私も人間が使うカメラを上手く使えたら、

   さっきのベストショットを残せましたのに・・・。

 

 

ミー:ベストショット!?ル~ナ~!!!!

 

ルナ:逃げるが勝ちですわ~!!!

 

ミー:あっ!こら!待て!!!逃げるな~~!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

(お店 裏庭)

 

 

 

ルナ:ここまで逃げたら大丈夫かしら?それにしても傑作でしたわ~!ミーにモップの当たった瞬間の顔と来たら・・・。

 

レオン:よっ!

 

ルナ:きゃああああああああ!

 

レオン:おい!俺だよ!!!どうしたんだ?驚いたりして?

 

ルナ:レオン!!!本当、心臓が口から飛び出すかと思いましたわ!!!

 

レオン:さてはお前・・・、またミーを弄ってたな?

 

ルナ:弄ってたなんて・・・私はただミーがボーっとして邪魔でしたので近くにあったモップを・・・。

 

レオン:モップを?

 

ルナ:倒してミーの頭に当てただけですわ。

 

レオン:おいおい・・・。それで、ミーが激怒してここまで逃げてきたわけだな・・・。

 

ルナ:ご名答ですわ。

 

レオン:まったくお前って奴は毎度毎度懲りないんだから・・・。

 

ルナ:そんな事より何か用があって声かけたんじゃないの?

 

レオン:あぁ、そうだった。今日は何の日か覚えてるよな?

 

ルナ:あら?今日何か特別な事なんてあったかしら?仲間達の中の誕生日でもありませんし・・・。

 

レオン:おい、本気でわからないのか?

 

ルナ:わかりませんわ。何の日なのかしら?

 

レオン:(演技でもなさそうだし、本当に今日という日を忘れてるのか・・・。仕方ない。)

 

レオン:ほら、ルナ。プレゼントだ。受け取ってくれ。

 

ルナ:プレゼント。さてはレオン、何か企んでますの?

 

レオン:なんで、そうなる!ほら・・・今日はホワイトデーだから、お返しをとだな・・・。

 

ルナ:覚えてましたの?期待しないで待ってましたけど・・・、ありがたく受け取りますわ。

 

レオン:全く・・・、素直じゃないんだから。良いから開けてみろよ。

 

ルナ:(不器用に包んである包み紙を開く)これは・・・、綺麗な首輪ですのね。

 

レオン:お前がバレンタインデーの時、お返しは2倍、いや4倍でって言ってたから、色々と考えてだな・・・。

 

ルナ:レオン、ありがとうですわ。ありがたく使わせていただきますわ。

 

レオン:あぁ、そうしてくれ。

 

ルナ:・・・。

 

 

レオン:(なんでルナ、無言なんだよ。なんかこの空気は変に緊張するな。それになんかルナが凄く綺麗に見える。

     いや、元から綺麗ではあるのだけど・・・なんかいつもと違う感じが・・・)

 

 

ルナ:そろそろ、お店に戻っても大丈夫そうかしら。じゃあレオン、私は店に戻りますわ。

 

レオン:待ってくれ!

 

ルナ:どうかしましたの?

 

レオン:いや・・・その・・・。

 

ルナ:・・・。

 

レオン:ルナ・・・、俺と・・・その・・・・。

 

ルナ:良いですわ。

 

レオン:へッ?

 

ルナ:もう少し反応を楽しんでいたかったですが・・・、答えはイエスですわ。

 

レオン:それって・・・?

 

 

ルナ:もっと堂々と告白してもらいたい所でしたけど・・・・、このお返しで、レオンの気持ちはわかりましたわ。

   だけど、お店のみんなの前では、変にベタベタは禁止ですわ。私にもプライドがありますから。

 

 

レオン:それは勿論。約束するよ。

 

ルナ:じゃあ、これからよろしくですわ。レオン。

 

レオン:あぁ。よろしくな。ルナ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(店内奥)

 

 

ミー:もう~!ルナったら、どこに隠れたのかしら?それにしてもさっきのは本当痛かったな・・・。

 

バロン:あれ?ミー、こんな所で何してるの?

 

ミー:バロン!!!

 

バロン:なんだよ。俺の顔になんか付いてるのか?

 

ミー:そうじゃなくて・・・。何と言うか・・・、その・・・。

 

ミー:(どうしよう・・・。バロンの事、さっき考えてたからか変に緊張しちゃう・・・。)

 

バロン:あっ、そうだ!今日ってさ、ミーの言ってたホワイトデーって日だろ?俺、お返し、ちゃんと用意したぜ!

 

ミー:本当に?

 

バロン:うん!今、持ってくるから、待っててくれよな!

 

ミー:わかった。

 

ミー:(バロンからのお返し・・・なんだろう・・・。ひょっとしたら、綺麗な花とか、首輪とか、なんか素敵な物かな~。

    それで、お互い良い雰囲気になって~、告白とかキスしたりとか・・・。)

 

 

バロン:お待たせ!じゃあ、ミー、その・・・、目を閉じてくれないかな?

 

ミー:うん。

 

ミー:(この展開はひょっとしてひょっとするんじゃない!やだっ!まだ・・・心の準備が・・・)

 

バロン:良いよ。目、開けて。

 

ミー:うん!・・・えっ・・・?これは・・・カルカン?

 

 

バロン:どう?驚いた?どんなお返しにしようか悩んだんだけどさ~、レオンに聞いたらホワイトデーのお返しは、

    2倍、4倍がって言うから、じゃあ、これだ!って思って、俺、頑張ったんだけど4個じゃ足りなかったかな~?

 

 

ミー:バロンの・・・。

 

バロン:ん?

 

ミー:(バロンを前足で殴る)バロンの馬鹿~~!!!!

 

バロン:グハッ!!!

 

 

 

 

 

 

レオン:おい、バロン!、しっかりしろ!

 

バロン:う~ん。

 

レオン:どうしたんだ、こんな所で倒れて?

 

 

バロン:それがさ・・・、俺もよくわからないんだよ。レオンのアドバイス通りお返しを用意して、

    ミーに渡したんだけどさ・・・。そしたらいきなりミーが殴ってきて・・・。

 

 

レオン:お返しは何を渡したんだ?

 

バロン:何って、ミーが喜ぶかな~と思って、カルカン4個を渡したよ。

 

レオン:おい・・・。

 

バロン:ただのカルカンじゃないんだぜ!高級カルカンで、用意するの大変だったのにさ!

 

レオン:バロン・・・。ミーが怒った理由、本当にわからないのか・・・?

 

バロン:・・・わからない。俺、なんか悪い事したのか?

 

レオン:仕方ないな・・・。教えてやるよ。だけど聞いた後どうするかは自分で考えろよ。いいな!

 

バロン:わかった・・・。

 

レオン:よし!じゃあ、話すぞ。ホワイトデーはバレンタインデーの時のお返しをする日だ。

 

バロン:うん。

 

レオン:そして、まぁ・・・、義理でお返しをする時もあるが・・・、中には本命ってのもあってだな・・・。

 

バロン:本命・・・?

 

 

レオン:お前には難しかったか・・・。簡単に言えば、好きな人にバレンタインデーの時のお返しを渡すって意味だ。

    更に言うと、その時の返事を好きな相手に伝えるってのもある。

 

 

バロン:伝える?

 

 

レオン:あぁ。つまりだ・・・。ミーはバレンタインデーの時に、バロンに好意を持ってプレゼントを渡したから、

    今日のホワイトデーに期待してたわけだ。

 

 

バロン:お返しをでしょ?だから俺はカルカンを!

 

レオン:馬鹿野郎!話は最後まで聞け!

 

バロン:わかったよ・・・。

 

レオン:そのお返しってのは、何か驚いたり、こちらの気持ちが伝わるような素敵な物を相手も期待するわけだ。

 

バロン:うん。

 

レオン:だから、カルカンじゃ駄目なんだよ。

 

バロン:え?それだけ?

 

レオン:あぁ。

 

バロン:じゃあ、何を渡せば良いんだよ?

 

レオン:それは・・・自分でちゃんと考えろ。

 

バロン:そんな~。

 

 

レオン:仕方ないな~。じゃあ裏庭でも行って来るんだな。大事なのは、ミーの事を想いながらだ。そしたら何か見つかると思うぞ。

    (困りきってるバロンを見て)

 

 

バロン:わかった。ちょっと行って来る!

 

レオン:本当、世話が焼ける弟分だ。

 

 

 

 

 

 

ルナ:ミーったら・・・ここには・・・いませんわよね。

 

ミー:あっ!ルナ、見つけた~!!!

 

ルナ:一体どこから現れましたの!?

 

ミー:企業秘密よ。そんな事より、さっきはよくも~!!!

 

ルナ:まだ、怒ってたのですわね・・・。

 

 

ミー:当たり前でしょ!本当に今日はついてない日!!!(ルナの首輪を見て)

   あれ?その首輪、どうしたの?綺麗・・・。

 

 

ルナ:これ?レオンからの贈り物ですわ。

 

ミー:贈り物って・・・、ホワイトデーの?

 

ルナ:そうですわ。綺麗で私にピッタリでしょ?

 

ミー:そうね・・・。はぁ~。

 

ルナ:ちょっと~、ため息なんかついてどうかしましたの?

 

ミー:それがさ~。

 

 

 

(バロンとの事をルナに一通り話す。)

 

 

 

ルナ:なるほどね~。

 

ミー:酷いでしょ・・・?

 

ルナ:ミー、それは仕方ありませんわ。あのバロンに、そんなロマンチックな展開期待するなんて、無謀過ぎますわ。

 

ミー:そりゃ~、そうだけど・・・。もしかしたらって事あるじゃない?

 

ルナ:ありませんわ。第一、そういう展開を期待するなら、ミー、貴女が上手くエスコートしてあげないと駄目ですわ。

 

ミー:やっぱり、それが一番なのかな・・・。

 

 

ルナ:ええ。それといくら、お返しのプレゼントが酷いからといって、殴るのはいけませんわ。

   まだ、今なら間に合いますわ。バロンに謝ってらっしゃい。

 

 

ミー:うん・・・。ルナ、ありがとう。

 

ルナ:私はただ・・・!そんな調子のミーを見ていたくないだけですわ!

 

ミー:本当、素直じゃないんだから!

 

ルナ:余計なお世話ですわ!

 

ミー:じゃあ、バロンに謝ってくる。本当、ありがとう!ルナ!

 

 

 

 

 

 

 

 

ルナ:(まだまだNO.1は、譲れませんわね・・・。もっと周りや、相手の気持ちを理解出来るようになって

    もらわないと・・・。それにしても上手く行くかしら・・・?気になりますし、後で様子を見に行かないとですわね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(お店 裏庭)

 

 

 

バロン:(レオンに言われて来てみたけど、ここに何があるって言うんだ・・・?あ~!!!駄目だ!!!全然わかんね~!!!

     ん・・・?あれは・・・綺麗だな・・・。)

 

ミー:バロン!いる?

 

バロン:(あれは、ミーの声。まだ怒ってんのかな~。ミーに渡すもの渡すもの・・・やっぱりこれで良いかな・・・。)

 

ミー:バロン!いないの?

 

バロン:ミー、その・・・。

 

ミー:バロン、ごめんね!さっきはつい殴ったりして!

 

 

バロン:俺の方こそごめん!あれから、色々考えたんだけどさ、俺、こういうの初めてで、何渡すかわからなくて・・・。

    だけど一生懸命考えたんだ!これ、受けとって!

 

 

(そう言って、ミーにガラス玉を渡す)

 

 

ミー:綺麗な色のガラス玉・・・。

 

バロン:さっき、たまたま見つけたんだけどさ、見た瞬間、ミー、喜ぶかなと思って・・・。

 

ミー:バロン、ありがとう・・・。大事にするね・・・。

 

バロン:うん・・・。

 

ミー:あのね・・・、私・・・。

 

バロン:待って!

 

ミー:え?

 

バロン:何も言わずに聞いて。俺は本当馬鹿だし・・・、頼りないし・・・、怒らせたりするけど・・・。

 

ミー:・・・。

 

 

バロン:ミーの事が大好きだよ。これから先は、俺と一緒に笑ったり、泣いたり、怒ったり、一緒にしてくれないかな?

    ミーの事は俺が何があっても守る!

 

 

ミー:・・・。

 

バロン:ミー、俺と付き合ってくれないか?

 

ミー:うん。良いよ・・・!!!

 

バロン:本当に?やった!!!

 

ミー:すぐ怒ったり、殴ったり、やけ食いしたり・・・、これからもしちゃうかもしれないけど、変わらず好きなままでいてね。

 

バロン:うん!どんなミーでも、変わらず好きでいるよ。

 

ミー:ありがとう。これからよろしくね。バロン。

 

バロン:こちらこそよろしくな!ミー。

 

 

 

 

 

 

(お店 裏庭 入口)

 

 

 

ルナ:なんとか上手くいったみたいですわね。

 

レオン:そうだな。

 

ルナ:レオン、いつの間に。

 

レオン:結構前から居たぜ。ルナ、俺の気配気付かないとは、まだまだだな。

 

ルナ:うるさいですわ!もう私達、付き合ってるのですから、そんなにコソコソしないで堂々と近づいて来て欲しいですわ!

 

レオン:良いのか?じゃあ~、遠慮なく。

 

ルナ:ちょっと!いきなり抱きしめないで・・・ですわ・・・。

 

レオン:良いじゃないか~。俺は今はこうしてたいんだ。

 

ルナ:・・・。

 

レオン:なんだ?照れてるのか?

 

ルナ:なんでもありませんわ!

 

レオン:本当素直じゃないんだから。

 

ルナ:こんな私を好きになった事せいぜい後悔するといいですわ!

 

レオン:後悔なんて、この先も絶対しないよ。

 

ルナ:本当、調子が狂いますわ・・・。

 

レオン:そんな困ったルナも俺は好きだよ。

 

ルナ:(レオンの足を踏みつける)調子に・・・のりすぎですわ!!!

 

レオン:イテッ!!!

 

ルナ:これにて、一件落着ですわ~!!!お~!ほほほほほほほほ!

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり